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実施日:2009年9月12日(土)13:30~15:30
場 所:加賀屋新田会所跡(大阪市指定史跡・有形文化財)
講 師:山野 松雄、吉岡 五郎(一級建築士、NPO法人 日本住宅管理協会)
山下 儀之、吉久 英昭(住之江のまち案内ボランティアの会)
独特の佇まいを持った日本建築の良さを残しつつ快適に暮らすための住まいとはどんなものか?住之江区の古民家「加賀屋新田会所跡」を訪ねて、その建築に見られる古建築の知恵を、建築士や地域ボランティアの解説を交えながら学びました。
■講演『古民家から学ぶ知恵とは』/山野 松雄
今日のように、エアコンや床暖房のなかった時代は、快適な住まいを作るために先人たちはどのような工夫をしていたのか、自然の摂理にかなった発見や発明からすまいに施した工夫や創意工夫の精神について、説明がありました。
<講演の様子>
「快適な住まいをつくるために知っておきたいこと」
・自然の摂理をよく知ること
<自然の要素> 太陽・雨・風・敷地(池や植栽)
・温熱環境の快適性の要素、体感温度を知ること
<快適な温度> 冬の室内温度18℃~23℃、夏の室内温度25℃~27℃
<快適な湿度> 40%~60%
・体で実感する快適な体感温度を知ること
<自然的要因>気温、湿度、風速、熱輻射(ねつふくしゃ)がある
<人的 要因>着衣の状態、活動のレベルによって変化する
「日本の住まいは、通風を考えた住まいとせよ」
体感温度=(周囲の物体の平均輻射温度 + 室温)÷2
日本の住まいづくりは、夏の高温・多湿に備えるように、風が建物内部を通り抜けるような工夫を施すことにあります。風による体感温度の効果は風速1m/sあたり1℃とも2℃とも言われます。また,気温が同じでも湿度が高いと、暑く感じます。ともに、皮膚からの蒸発による体感温度の変化によるものです。
体感温度に影響するものとして、熱輻射があります。例をあげると、真夏の炎天下に置いていた車に乗った時を想像して下さい。扉を開けてしばらく空気を入れ替えした後でも、熱のこもった車体で周りから焼かれるように感じます。つまり、体感温度は、気温だけでなく、周囲の物の温度の影響を大きく受けます。オーブンのように感じる「照り返し」というものです。これを、熱輻射といいます。
昔は、平均輻射温度という言葉はなかったかも知れませんが、先人たちは既にそういった点を考慮し、「家に暑気を入れない工夫」「室内を暖めない工夫」をしていたのです。との説明がありました。
■建物と回遊式庭園の見学
後半は、ガイドとともに建物内部と庭園を見学しました。
先人たちが工夫した快適な住まいの知恵あれこれ(欄間(らんま)、葭戸(よしど)、簾(すだれ)、縁側、建材、池泉、前栽など)について、解説を受け各自でチェックしました。
<建物内部を見学している様子>
<庭園内部を回遊している様子>
■参加者の感想
3倍以上の応募者のなか33名が抽選で決まり、悪天候にかかわらず当日27名の参加がありました。アンケート結果より「気候風土を考慮した、日本の伝統的建物の利点を知る事ができた」「当時の職人の手仕事に関心した。贅沢なつくりで見ていて勉強になった」「体感温度と熱輻射や湿度との関係が参考になった。物は全て熱をもっていてそれが熱を出している、だから自然素材がいいという話がためになった」などの感想がありました。実際、現地で古民家という実物を見ながら先人の知恵を学ぶ講座を通じて、建築のハード面のみならず、周辺環境をも含む歴史的魅力をも再発見できるセミナーとなりました。