「住まいの耐震化のすすめ~木造住宅の耐震について今できること~」
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実施日:2009年6月20日(土)13:30~15:30
個別相談:10:30~12:00/15:40~16:30
場 所:大阪市立住まい情報センター3階ホール
主 催:特定非営利活動法人『人・家・街 安全支援機構』
大阪市立住まい情報センター
講 師:宮野 道雄(大阪市立大学大学院 生活科学研究科 教授)
大石 正美(LSO専務理事、(株)シーエムシー一級建築士事務所代表取締役)
中野 直樹(大阪市都市整備局企画部防災・耐震化計画担当課長)
■特定非営利活動法人『人・家・街 安全支援機構』とは
阪神淡路大震災を教訓に、命の大切さとその生活の基盤となる住まいの「健全性」や地域社会の「安全性」について、適正な知識(能力)・情報を市民に提供すると共に防災に対する意識向上を図ることを目的に活動しています。市民・行政・専門家が一体となって防災・減災(災害時の被災度合いの軽減)対策にかかる研究開発やその実施に取り組む活動のサポート、行政や団体等との連携を取り易くするため、特定非営利活動法人『人・家・街 安全支援機構(LSO)』を2004年1月に設立しました。
■主催者挨拶/大久保 昌一
阪神淡路大震災は、安全神話に浸っていた社会に対して多くの教訓を与えましたが、安全、安心な生活環境の形成の維持のためには、自己点検のシステムの充実を他の諸条件との関連において充実することが大切です。今回は、住まい情報センターとタイアップで耐震診断・改修の普及を図るため、2つの基調講演と大阪市の支援制度を通じて市民の方々に震災の本当の怖さ、耐震対策の必要性についてお伝えします。
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■基調講演1『命を守る住まいの工夫』/宮野 道雄
日頃は、地震現象を中心に自然災害における人的被害の発生メカニズムや避難行動特性を既往の被害調査により明らかにしたり、家屋倒壊や家具転倒に伴う人体への被災度を計測するためのシミュレーション手法やダミー開発を行い、安全な住宅および住まい方について研究を実施しています。
今回は、「地震による建物被害」「地震による人的被害」「死者発生建物の属性」などの調査データを通じて学び取れる事前対策として「命を守るための地震対策の4つのポイント」について説明がありました。
「地震による建物被害」
兵庫県南部地震による家屋被害をみると、木造、鉄筋の建物ともに一階部分が最も倒壊しやすく、鉄筋だと一部倒壊(3階、4階)する層倒壊がみられます。震度7で全壊しやすい木造建築は、昭和35年以前に建設されたものが圧倒的に多い。次いで昭和36年~55年。比較的新しい昭和56年以降の木造住宅の全壊は11%でした。
又、蟻害・腐朽の被害のあった木造住宅は、築年数に関係なく全壊したものが多かった。
<全壊した建物の状況>
「地震による人的被害」
地震による死亡率は、1960年以前は家屋倒壊が89%以上だったのが、1960年以降では、津波による被害が48%、新潟県中越地震ではショック死36%という結果があります。これを死者発生建物の建築年代別屋根葺き材区分でみると、1960年以前は最も土葺き瓦が多く、屋根部分が重いことが影響して全壊していました。現在は様々な建材が用いられているので、屋根は比較的軽い材料を用いると被害を減少させることができます。
「死者発生建物の属性」
直接死因と年齢階層別死亡率によれば、一階部分の建物倒壊による圧死(窒息死)が63%、外傷17%、焼死(熱傷)9%で、いずれも60代以上の逃げ遅れた高齢者が犠牲になっていました。
「命を守るための地震対策4つのポイント」
①事前対策、②最中対策、③事後対策、④地域の対策が必要。①では、住まいの維持管理として、耐震診断・改修による補強。生存空間の確保。家具の転落防止対策。寝床階の選択。非常時の備蓄品。②では、怪我をしない行動。③では、初期消火、ブレーカーの切断。④では、日頃から身の回りの危険箇所の把握と避難イメージをまちぐるみでおこなっていくことで、人の助け合いやコミュニティ強化につなげていくことが大切との説明がありました。
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■基調講演2『木造住宅の具体的な耐震診断と補強法について』/大石 正美
実際地震が起こると建物のなかはどんな状況になるのか、建物はどのように倒壊するのか、など実験VTRを視聴。建物の診断の手順や補強法について具体的な事例が紹介されました。
例えば、耐震改修は住みながら工事ができる簡単な施工法について、床・(天井)を壊さずに壁の補強工事ができる「壁用ステンレスブレース」。柱の引き抜け防止例として建物を壊すことなく耐震性を向上させる「ホールダウン金物」。基礎補強例として「エポキシ樹脂」を亀裂部分に塗りこむ方法、などがあります。さらに、改修とリフォームをセットに施工すると、より住み心地のよい空間がつくれるとのことでした。
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<改修前⇒改修後(リフォームとセットにした場合)>![]() ![]() |
<壁用ステンレスブレースの施工>
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<ホールダウン金物の施工>
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■大阪市の補助制度の紹介:中野 直樹
大阪市では、耐震診断や耐震改修にかかる費用に補助をしています。
耐震診断については、らくらく耐震診断と称して、診断にかかる費用の90%(限度額4万5千円)を補助しており、標準的な木造戸建住宅で診断費が5万円の場合、5千円程度の自己負担となります。
らくらく耐震診断のポイントとして、①耐震診断事業者を紹介していること、②耐震診断事業者が補助申請手続きを行うこともできること、③パッケージ耐震診断(耐震診断・耐震設計・工事費の見積りをまとめて行う場合)にも補助することなどの説明がありました。
また、耐震改修については、なっとく耐震改修と称して、改修にかかる費用の50%(限度額100万円)を補助しています。補助率と補助限度額はこの4月に引き上げたところですが、3年間の限定とのことですので、お早めにご利用ください。
なっとく耐震改修のポイントとして、①簡易型耐震改修やシェルター型耐震改修にも補助すること、②耐震改修事業者を紹介していることなどの説明がありました。
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■参加者の感想や取り組みの影響
参加者110名、個別相談は22件でした。アンケート結果より、「耐震補強していない家があまりに簡単にくずれるので、びっくり。ビデオを見て予想以上にショックを受けた。」「耐震診断の方法が具体的に紹介されたので、とてもわかりやすかった。」「耐震の工法などもいろいろあり、生活しながらでも工事が可能なことがわかりよかったです。」などの感想がありました。市民への耐震への意識啓蒙及び支援制度の普及が効果的に発信されたセミナーとなりました。
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