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ホーム > 住まい・まちづくりの ノウハウ > 平成21年度タイアップ事業交流会の報告-1

住まい・まちづくりの ノウハウ 住まい情報センターが行うセミナーやシンポジウムなどの報告

平成21年度タイアップ事業交流会の報告-1

日時:平成22年3月14日(日) 13:30~16:30
場所:住まい情報センター5階研修室
<プログラム>
1部:講演 「シブヤ大学の魅力を解剖!~大学という名の新しい地域コミュニティづくりとは~」
   近藤 ナオ氏(NPO法人シブヤ大学 ディレクター兼事業モデル他地域ノウハウ移転責任者)
      高橋 マキ氏(ライター、京都カラスマ大学授業コーディネーター)
2部:交流会 
ゲストスピーカーへの質疑応答や意見交換、名刺交換など
<プログラム企画・司会進行>
玉井 明子(大阪市立住まい情報センター)
 
1部:「シブヤ大学の魅力を解剖!~大学という名の新しい地域コミュニティづくりとは~」
 
 
<ゲストスピーカー1 プロフィール>
 国士舘大学工学部建築学科卒。『有限会社 ASOBOT』取締役兼クリエイティブディレクター。主な仕事として、リーバイス、ライフスタイルショップFoundなどの新規店舗の開発・デザイン・人材育成から、都市計画の一貫として上野界隈開発構想などの大型商業開発にも関わる。現在、街をキャンパス(学びの場)に見たて、生涯学習を通して地域のコミュニティ構築を行う。シブヤ大学事業モデルの他地域ノウハウ移転として、札幌・立川・名古屋・京都・大阪・広島・福岡・鹿児島・沖縄などへ、誰もが主役になれる可能性のある自立分散協調型組織構築に向けたコンサルを行っている。
 
●シブヤ大学のホームページ:http://www.shibuya-univ.net/
 
 
近藤 ナオ(こんどう なお)
/NPO法人シブヤ大学 ディレクター兼事業モデル他地域ノウハウ移転責任者
 
今回は、街をキャンパスに見立てて、『地域密着型の生涯学習』と『新しい地域コミュニティづくり』を行う、NPO法人シブヤ大学をクローズアップしました。2006年9月の設立以来、ユニークな授業が無料で受けられると評判になり、学生登録者数は開講2年半で1万人を超え、”うちの地域でもやりたい!”と行政・企業・市民、そして海外から数多くの問い合わせを受ける。姉妹校制度プロジェクトによって『京都カラスマ大学』『大ナゴヤ大学』『札幌オオドオリ大学』など日本各地に活動が波及。大学という名の場をつくることで人が交流し、活動がビジネスとなり連鎖・展開させていくノウハウとは一体何なのか。授業コンテンツや仕組みづくり、運営のポイントなどについて、東京は「シブヤ大学」と京都は「京都カラスマ大学」のキーパーソンにお話を聞き、交流会ではざっくばらんな雰囲気の中、皆で情報交換しあいました。
 
 
●コミュニティを創造する新しいメディア(媒介)とは?

①まち全体をキャンパスに、媒介になる場を授業でつくる
シブヤ大学は、学校法人ではなく、大学というコンセプトを持つまちづくり系の活動をしている一つのNPO団体のことです。大きな特徴は、特定の校舎を持たない大学として、渋谷区内にある全ての場所を教室にしていること。例えば、表参道ヒルズ、地域の小学校、明治神宮、個人のお宅、ちょっと変わった所では首都高速道路(渋谷の地下空間)、渋谷区内であればどこでも教室と位置づけ活用しています。

②生徒が先生にもなれる仕組み、基本授業料は無料!
二つ目の特徴は、生徒が先生になれること。外部から著名な先生を呼ぶだけではなく、そのまちに住んでいる人、働いている人、そのまちに関係のある人、昔住んでいた人、渋谷が好きで年に数回来る人でもいい、そういう人たちが自分の特技を生かし、いつもは生徒だけどたまに先生にもなれる、先生と生徒が行き来できる仕組みをつくっています。例えば、恵比寿地域の太鼓チームの大将には「和太鼓体験教室」、女子医大生には「性教育」の授業、渋谷の円山町の芸者さんは「今夜は無礼講」の授業を、様々なテーマでいろんな人たちに関わってもらっています。三つ目の特徴は、授業を全部無料で参加者に提供していること。さすがにボーリングプレイ代や酒代などは個人負担して頂きますが、基本授業料は無料です。第3土曜日をシブヤ大学の日と決め、月1回は必ず実施するよう定期的スケジュールを設けています。渋谷内にある約5~6箇所の教室で同時多発的に10講座程度の催しが開催されているという状況をつくっています。さらにシブヤ大学は入学費も無料。WEBサイトから個人情報を入力するだけで、誰でも生徒になれます。2006年9月から今年で約3年半続けて活動していますが、生徒登録数は約1万7千人。3割が渋谷在勤・在住、他7割が他地域の人たちで構成されています。受講者属性は、男女比は約6割が女性。年代は8歳~90歳くらいまで幅広く、主に20代、30代、40代前半の働いている人たちが、メインの生徒として登録される特徴があります。

③プロの経験と自信をもった授業コーディネーターの存在
 シブヤ大学には、そういう若者たちがこういう学びの場に来るということが注目されていますが、その層の集客の理由の一つは、組織のなかで大事な役割を担っている“授業コーディネーター”という役職にあります。京都カラスマ大学の高橋マキさんもこの役割を担っていますが、授業料が無料だからといって、誰か著名な先生に好き勝手授業してもらうのでなく、コーディネーターがちゃんと授業をつくりあげていること。授業コーディネーターは、編集者や広告代理店のプランナーなど、いろんな分野で企画・編集・コーディネートを本業でやっているプロに担ってもらいます。プロに授業をつくってもらうことで、無料とはいえ授業のクオリティの担保ができます。やっぱり授業が面白くないと生徒さんも増えてこない。ここで重要なのは誰がコーディネーターを担うか、なのです。シブヤ大学には、授業コーディネーターが約20人いますが振り返ってみれば、その殆どが20~30代の会社員でした。そういう人たちが各々の特技を生かして授業をつくり続けてきたので、多分生徒たちも若者属性になったのかなと思います。

④授業スタイルは自分が学びたいと思う、面白いものを、自由な発想で
僕が授業コーディネーターにオーダーするのは「いろんな事考えなくていいから、1人目の生徒になる感覚で、自分が絶対学びたいと思う授業をつくって」とお願いします。さらに「まちに出て先生を見つけて、自分が面白いと思うようであれば、それでOK」というスタイルで実施しています。というものシブヤ大学には年間計画はなく、早い者勝ちで彼らが企画してきたものを順次、授業として開催しているだけ。自由なスタイルにする事で、授業コーディネーターにとってもメリットがあります。普段の仕事では受注型で好き勝手できない部分がある。でもシブヤ大学の授業は、好きなようにコーディネートできる。給与は、渋谷だと1授業企画・当日運営で1回4万円です。それぞれの地域でギャラを決め実施するという仕組みです。なぜシブヤ大学のコミュニティが活性化しているのか。その理由の一つとして、テーマを問わないということ。音楽とか環境だけとかテーマを切らずに全て“学び”でくくっています。そうすることで、環境の切り口から参加してきた人でも、音楽の方にも興味があったり、授業に参加するなかで生徒が動き、新たにコミュニティが生まれ、活発化を早くすることにつながっていると思います。
 

●ビジネスへと連鎖させる、NPOマネジメントとは?


①ローコストでスピーディに発展させるNPO運営ノウハウ
シブヤ大学の開講までのスケジュールは、2年間で「第1~第4フェーズ」を経ました。第1フェーズでは、コアとなる人材発掘をおこない、8~12人のメンバーを見つけます。第2フェーズが非常に大切で、資金調達をして300~400万程度確保することをお勧めします。ここで確保できなければ、想いはあっても活動がなかなか継続していかないからです。第3フェーズでは、開講準備としてNPO設立にとりかかり、運営に必要なスタッフを育成します。第4フェーズでは、開講期となります。他地域移転プロジェクトとして、この時期にハンズオン支援をおこなうなど、活動の立ち上げをサポートする段階を設けています。
次に、シブヤ大学がどうやって活動資金を集めそれをまわしているのか、組織体制と運営のノウハウについてお話します。シブヤ大学はNPO法人ですが、渋谷区の協力によって区役所内のスペースを事務所として無料提供してもらっています。フルタイムスタッフは、事務局の代表(学長)である30代の若者、総務20代の女性の二人。事務局長は、大手広告代理店の営業実績のある50代の男性で資金調達のリーダーとして動いています。僕は企画の統括として、授業コーディネーターの人数や企画チームをとりまとめています。なかでもコミュニケーションデザインの部分には凄く気を使っているので、ブランドマネジメント(デザインの部分)にはグラフィックデザイナー、ウェブデザイナー、ディレクター、が何人かいる組織体制をつくったり、授業運営面では、イベント運営会社のプロに入ってもらうなど、シブヤ大学は、最低限必要なポジションにプロの人たちが入って、それぞれ役割を担っているのが特徴的です。給料は月に1、2万円から月50万まで、それぞれ業務に合わせて、活動した後に外注費として支給されます。ほかは運営ボランティアが約90人うち毎月3、40人ぐらい手伝いに来てくれています。NPO活動でよく挙げられる課題として、設立時には10人の発起人が必要ですが、大体、1、2名の想いでたちあげて残り8名が名前貸しといった状況があると思います。しかしそういうNPOだと、どうしても一人に過重がかかりすぎて、活動がうまくいかなかったりすることが少なくありません。そこでシブヤ大学では、汗をかかない人や名前貸しをするだけの偉い人たちは、サポーターとして名前を連ねて人的・金銭的支援をしてもらっています。このように、シブヤ大学がローコストでスピーディに発展を遂げたのは、個人が活動しやすい組織づくりを心がけているからだと思います。

②活動資金は企業CSRなどとコラボレーションで生み出す
次に、お金の集め方について。一つには、渋谷区の外郭団体で渋谷サービス公社という生涯学習事業を提供している会社から1講座約50万円で年間20コマ、1千万の事業委託を受けています。行政が一番サービスを提供しにくい20代から40代の人たちに対して講座を提供する、というもので企画・運営・集客の全てを担う仕事です。また、女性センターからも若者向きの講座を委託されています。それ以外は、企業や個人からの協賛・寄付・会費などに支えられています。
例えば企業CSR事業では、社会貢献の一環で日本生命さんが「よりよく生きる」をテーマに講座を作れば、協賛金を出してくれたり、渋谷109というギャルファッショビルさんの場合、「エイズの授業」を実施することで協賛金を頂いたりします。また、企業のPR事業という形では、サッポロビールさんが「大人の社会見学」として資料館にシブヤ大の学生を連れていくような授業もしています。また、企業の社員研修事業としては、「風とバラッドさん」という広告制作会社の社員研修の一環で、グラフィックデザイナーやコピーライターが「メールの送り方講座」や「年賀状のデザインのしかた講座」を一般の人に教える講座ができるよう、授業コーディネーターが調整したりします。これも年間100万くらい頂いて、年4、5人の社員を先生として実施しました。
あとは、都市農村交流授業という郊外型ツアーです。通常免許のない団体がツアー組むと、第二種の旅行業法の関係で違法となりますが、地元旅行代理店の協力で1泊2日2万、3万のツアーを組みます。NPOへはそこから3千円~5千円の運営資金が得られるという取り組みです。
また、活動資金の調達イベントを表参道ヒルズ等にて、定期的に実施しています。NPO運営上最も大事なのは、法人会員とか個人会員でここを手薄にしてはいけない部分に、法人だと1口10万円、個人だと1口1万円で、地道に積上げてきて寄付も合わせ900万ぐらいになっています。名古屋では、去年9月に開講しましたが、開校前に3ヶ月ぐらいかけて地域の人の協力で350万ぐらい小口で集めてきたんですね。これは結構すごいことだなと。NPOという法人形態をとるには、やはり会費や寄付を無税で受け取れるというのが特徴なので、こういう地元の協力関係を大事にされることをお勧めします。
 

●もうひとつの働き方、生き方を探す人の仕事探し『しごと課』の試み


①大学でのOB訪問ではない、町の先輩訪問
 大学には、就職課があります。学びだけじゃなくて、働くとか仕事のようなキーワードにすれば、またいろんな人たちが巻き込めるんじゃないか、ということで新しく「しごと課」というプロジェクトを始めました。プロジェクトの一つに「街の先輩訪問」があります。大学だとOB訪問がありますが、ここでは渋谷の地域で働いている人たちの誰でもが先輩なので訪問して話を聞きに行くというもの。普通のサラリーマンがNPO代表の話を聞いたり、デザイナーがアサヒビールさんなど大企業の社員の方のはなしを聞いたり、月に1、2人ペースでいろんな方に話を聞きにいくような場をつくるうちにいろんな関係が生まれて次に繋がっていったらいいな、と思い取り組んでいます。

②社会的に意義のある仕事が、もうひとつの働き方として若者の心をつかむ
例えば、ひつじ不動産という会社があります。これはかなりマニアックな会社なのですが、ここはシェアハウスの情報だけが載っている専門のポータル総合専門サイトを運営している会社で、不動産と称していますが、実はシェアハウスの情報だけをビルオーナーさんから広告料をもらい掲載しているだけの会社です。しかも、このサイトの運営だけで従業員4人が食べていけるくらいニッチな仕事になっているのです。なぜこういうマニアックな仕事で食べていけるのかというと、東京ではシェア住宅・住居、シェアハウスなどが流行っていて、これまでシェアハウスというのは、友達と4人ぐらい気が合うと、みんなで一軒家やマンションを借りて、部屋を割ってシェアリングして暮らすルームシェアがありましたが、この不動産業態は管理会社が、10戸部屋があったらそこに入る人を1人ずつ面接して、入居者を管理します。運営に責任を持っている事業者が存在し、シェア住居の維持・管理や運営に関する基本的な規則があるので女性でも安心して住まえるシェア住宅として、まだまだ関東で7千戸くらいしか供給されてないようですが、今ビジネスとして伸びてきているのです。
それぐらい渋谷を筆頭に東京では、1人で住むより少し家賃も安めになるだけでなく、シェアで住むと、共有部分が結構広くてキッチンやリビングや水廻りを共有して過ごせるといった、ひとつ屋根の下で一緒に生活をすることに意義を見出しているスタイルが、特に20代、30代の働いている女性にニーズがあり伸びてきている。そういう社会のニーズをとらえ、社会的に意義のある実践的な仕事が、徐々に生まれつつある。そういった新たな仕事と相互にPRしあっているのがしごと課の役割です。
このようにシブヤ大学では、仕事とか働くということを切り口にこんなふうに活動を広げています。

後半の高橋さんのお話、交流会はこちら≫

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