ブックトークサロン「昭和の日本のすまい『大阪の長屋探訪』」開催
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●ブックトークサロン
昭和の日本のすまい「大阪の長屋探訪」
日 時:10月24日(土)13:30~15:00
場 所:住まい情報センター 5階研修室
講 師:松本 滋(兵庫県立大学環境人間学部教授)

◆松本氏の講演風景
兵庫県立大学環境人間学部教授の松本 滋氏をお迎えし、司会・受付などライブラリーボランティア主宰でブックトークサロンを開催しました。
前半は「昭和の日本のすまい~西山夘三写真アーカイブスから~」の解説があり、後半には「海外のテラスハウス」の特徴についてお話いただきました。
日本の誇るべき建築・住宅学者であった西山夘三は、その学問的業績とともに60年間にわたり膨大な研究資料(写真や図版など)を残しました。昭和の激動と変化の時代であった昭和10年から50年代に至る、住まいと暮らしに関する貴重な資料より、大阪、京都、兵庫を中心とした長屋の住まいの特徴について説明がありました。
●日本の長屋
日本の都市住宅の多くは借家でしたが、大阪では長屋がその主役でした。そのため、平屋、一室の裏長屋から、2階建て、庭、門、玄関つきの立派な長屋、西洋長屋まで多様な長屋が供給されていたのです。大阪の長屋の場合、“とおりニワ”がなく、間取りは表玄関・台所、居間、裏庭・トイレが表から裏に一列に並ぶ配置構成がよく見受けられます。外観をみるとその様子がよくわかります(写真・図面参照)。
なぜ長屋が衰退したのでしょうか。その理由として、1980年代以降、接地性にこだわると思われていた日本人が案外マンションの空中生活を受け入れたという生活様式の変化があったこと、壁を共有することによる相隣問題や建て替えの難しさなどの長屋のもつ欠点が日本の短寿命住宅では顕著にあらわれることなどが要因として挙げられます。
今後の長屋の展望とは。昨今、都市政策のなかで様々な機能を都市の中心部に集中させることで都市の活力を保持させる“コンパクトシティ化”が求められています。長屋にはその特徴的な建物の外観や長屋暮らしがつくりだすコミュニティが見直されてきています。しかしながら現状は、建替えと同時に次々と姿を消していっているのです。
◆とおりニワがない、台所が前に張り出した外観をしている大阪の長屋
●海外のテラスハウス・タウンハウス
イギリスは長屋大国です。住まいはテラスハウスが一般的で、宮殿のような高級なテラスハウスもあります。地上4階建て地下1階、エレベーターはありません。以前は居住者は上下移動が必要なため使用人を雇い、日常の世話をしてもらいながら暮らすことが多かったのです。建物の境界は暖炉の煙突を内蔵した重厚なレンガの壁で仕切られているので、日本のように隣同士騒音問題が生じることはまずありません(写真参照)。煙突の煙は壁を暖めるので、暖かく過ごせる合理的な構造になっています。
◆イギリスのテラスハウス(縦方向の住まい方)
一方、フランスのアパルトマンは、かつてそれぞれ階級によって居住階を変え、各階に水平に住まう特徴がありました。中階層には、中流・上流階級の人たちが住み、屋根裏は売れない画家など貧乏人が住むといった建物の使われ方がありました。
◆フランスのアパルトマン(水平方向の住まい方)
その他、テラスハウス、タウンハウスの多数スライドを見ながら説明がありました。
◆ロンドン 中流庶民のテラスハウス(数百メートルの長大なテラスハウス)
◆ロンドン 庶民のテラスハウス(深いバックヤードは芝生が植えられている)
◆オランダの公営住宅(形がユニークなテラスハウス)
最後に、日本の長屋は壊されていくのに対して、海外のテラスハウスはなぜ街並みを形成しているのか、その要因はどこにあるのか、について。
海外の住宅市場の物件の殆どは中古住宅です。建物に歴史があって様式やデザインが魅力的なほどその資産価値が高くなります。それに対して、日本人の価値観は、新しい物件を嗜好する傾向にあります。日本の住宅は短命で建てては壊しまた建てるということを繰り返しています。また、長屋のある風景を街並みとして形成していくにあたって、建物それ自体が持つ課題だけではなく、住まいに対する人々の価値観の違いが大きく関係している、との説明がありました。
<参加者の声>
アンケートより、「大阪の長屋と海外のテラスハウスの違いがよくわかった」「講師の先生のお話がわかりやすく楽しく学べました」「いろんな長屋があること、今回のセミナーで新たな発見があった」などたくさんの感想をいただきました。

